書道家 伊藤白水が考える現代書道を記述しております。

現代書道考

現代書道考

よく、書道と習字の違いを聞かれることがあります。
毛筆における伝統的芸術は、書道に分類されます。ペンで独自の感性によって書いたとしても、書道とは言えません。あくまでも習字でしかないと思います。

書道は、芸術であると定義づけられています。それが故に、「感情・感覚・らしさ」を表現できるものと考えられます。

 

墨による濃淡の変化は無限です。限りなく真っ白から限りなく真っ黒まで、それによって柔らかさ、温かさなどの墨文字表現にも繋がります。 白に近い黒で迫力のある書体を商用に制作しようとした時、かなり無理があると思われます。真っ黒に近い方が迫力感があります。その無限の色を厳選して厳しさや力強さ寂しさ・・・等々に結びつけられると考えられます。

 

感情・感覚・らしさ」を表現することを学ぶのに、伝統的な文化である古典を通しての書道を学ぶだけでは無理があると思います。個人個人が生まれ持った環境や性格が独自の感性を生み出し、個性的な芸術としての書作品が生まれると考えられます。

 

「高品質」な商品の文字を求められた時「質が良い」と解釈し、そこには種々の要素が含まれます。お客様は何を求めているのか解らないと書けません。

高品質といっても「凛々しく」、「美しく」、「躍動感」、「激しく」等々たくさんあります。要は、高品質な筆文字とは「らしさ」。この一点だと思われます。

書作品を完成させるのに、筆法の技術だけではなく制作時の心も影響すると思います。「穏やかさ」を表現するのに怒りながら書くのは無理があるのではないでしょうか。同様に、「挑戦的」「堂々とした」「若々しい」・・・全て心が大切だと思います。

 

樹を筆で創作する場合、植えたばかりの樹、成長の盛りの樹、樹齢を重ね朽ち始めた樹、それぞれ樹の表情は変わります。それらを表現できた時、高品質と言えるのではないでしょうか。現代社会が書道に求めているのはこの「らしさ」であると、この仕事に携わりつくづく思います。私はまだまだ未熟ですが、この「らしさ」を追求していきたいと思います。

白水書風の特徴

文字は、点と線の組み合わせでできています。

ほとんどの文字は、線でできています。その線をどのようにするかによって「感情・感覚・らしさ」が決まります。

 

高級感の表現・・・行書の中に隷意を取り入れることが多々あります。行書においては八面出鋒を用いる場合もあります。

力強い表現・・・太い筆でも、細い筆でも何れにおいても筆圧を最大限にして送筆します。筆の下方をグーの状態で持ち、筆圧を加えて書くこともあります。また、撚筆を取り入れた送筆を用いる場合もあります。柔らかい筆で書く場合は、筆毛をS字に折り曲げて進む方向とは逆に倒して送筆します。

はほとんど撚筆を取り入れるようにしています。つまり、日下部鳴鶴の廻腕法を用いる必要はないと思っています。

美しさの表現・・・蔵鋒も露峰も使う場合があります。懸針篆や象笏は、文字の意味によって使い分けをしています。鉄柱を用いることは、まずありません。

躍動感の表現・・・隷書の波磔を用います。

繊細または神経質な線・・・糸を引っ張ったような細い線を書きます。

緊張感から解放された線・・・引っ張った糸を緩めたような線を書きます。

重厚な表現・・・太めの筆で、筆圧を加え過ぎないように中鋒で書きます。線が太いからといって、力強いとは限りません。側筆は用いないようにしています。

辛さの表現・・・太めの線、細めの線、飛白、クライアント様のニーズに合わせて用筆いたします。そこに旨さや甘さを要望された場合、1つの文字の中に起筆は蔵鋒や露峰を用いることがあります。

甘さの表現・・・曲線。かすれは使いません。

動きの表現・・・風舞書(ふうぶしょ)を用います。この風舞書は私(白水)の登録商標です。

古風の表現・・・縦2行にわたって創作する場合、二律背反の原則を用います。


その他、羊毛、剛毛、かすれ、紙質、送筆の速い・遅いの使い分け等によって、約30本のテレビCMなど数々の作品を制作して参りました。

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